2015年07月02日

愛称道路

道路には、道路法に基づく認定道路名と呼ばれる名称がつけられています。
フラワーロードであれば(県道)新神戸停車場線、山本通(異人館通り)であれば生田北22号線が道路法上の正式名称です。

名称を覚えるだけでも大変ですし、日常会話でも困ってしまいます。
そこで、道路に愛称をつける場合があります。

フラワーロードや山本通(異人館通り)も、神戸市が決めた愛称道路に含まれます。
このように、愛称道路には、名前をわかり易くし道路に親しみを持ってもらうという役割があります。

その他、地域の歴史や特色を伝える役割を持つ場合があります。
最近、学習した事例を紹介します。

乙仲通(おつなかどおり)は、南京町とメリケンパークの間にある東西の通りです。
近年、雑貨を扱う店舗が集積し若者に人気のエリアです。
昔は、海運貨物取扱業者が集積し、甲・乙・丙・丁にランク分けされていたそうです。
しかし、政府は戦時体制に備え、これらを乙種海運仲立業にまとめました。
以来、「乙仲さん」として親しまれ、それが名前の由来になっているそうです。
往時を偲ばせるレトロな建物も残っています。

神戸の山側、異人館の並ぶ山本通の一本南側には有名な真珠会社が軒を並べる通りがあります。
そのため、パールストリートが愛称です。
神戸には、主に真珠を一次加工をする会社が集積しているそうです。
真珠の検品や色を揃えるのに、六甲の南斜面の自然光が適していたことが集積の理由だと聞きました。
しかし、実際には貿易に通じた外国人の商館が集積していたことの方が大きかったようです。
愛称道路でもなければ、こんなことに興味を持ち、調べることもなかったはずです。

王子陸上競技場から布引町に至る区間を国体道路と呼びます。
兵庫国体の際、マラソンコースとなったことから命名されたそうです。
六甲道方面から北野方面に行く場合の最短経路であるためよく利用していましたが、名前は知りませんでした。
先日、タクシーに乗って運転手さんに教えてもらいました。
住宅地の中を通る交通量の少ない道路で好きな道路のひとつです。
名前を知ると、愛着が一層強まるような気がします。

愛称道路は、地域の歴史や特長を理解し、道路に愛着を持つきっかけづくりをしてくれます。
これからも、愛称道路を通して地域を理解し、愛着を育てていきたいものです。


7月2日 Y.I.記
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2013年12月01日

男坂・女坂

日本の神社などは、まっすぐ上り下りできる階段と少し迂回するが傾斜の緩いスロープの両方を備えていることが多い。
男か女かでルートが決められているわけではないが、前者を男坂、後者を女坂と呼ぶ。

一般的になったのは、神社が多数の信徒を獲得し婦女子の参拝が増えた17世紀以降のことだそうである。
今と比べて道を整備するのが大変だった時代に、バリアフリーに思いをいたらせた日本人がいたことには驚かされる。

当初は、バリアフリーを狙いに作られた女坂ではあるが、その後は様々な効用につながった。
まず、往きは男坂、帰りは女坂という様な使い分けができるようになり、参拝の道中を楽しめるようになった。

時代が変わると、クルマのルートとしても使われるようになった。
いずれも、女坂がなければ実現しなかった使い方だと思う。

道路利用者の中にも、急ぐ人もいれば、ゆっくり行きたい人もいる。
しかし、今は、機能性が重視され、直線道路の組み合わせでネットワークが造られてしまう。

クルマには便利であっても、歩行者にとっては変化が少なく決して楽しくはない。
時代の変化に柔軟に対応していけるよう、もう一度“男坂・女坂”の概念を思い起こす必要があるように思う。

12月1日 Y.I.記
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2013年03月03日

正解と納得解

政策や施策を評価する場合、将来イメージの共有が重要です。
例えば、車が増えるのか、減るのか曖昧なままで、まともな議論はできません。

そこで、将来予測を行い将来イメージの共有が図られます。
例えば、車の増減は、人口増加や経済成長の見通しに基づいて予測されます。

しかし、予測で前提としている人口や経済の見通しにも異論は沢山あるはずです。
また、国土・社会構造、価値観の変化についても異論を調整し、予測モデルに反映する必要があります。

正解があるのであれば、時間をかければこれらの異論も調整できるのかもしれません。
しかし、ほとんどの場合、正解はありそうもありません。

現状の道路事業評価では、全国ベースの自動車交通量予測値を用いることとされています。
この予測値を使って計算した費用便益比をもとに事業の必要性が判断されます。

実際には、判断基準も統一されていますから、異論をさしはさむ余地はほとんどありません。
異論の調整の手間はありませんが、合意形成の手続きとして考えるとおかしな気がします。

意見を統一するのは無理としても、徹底した議論を通して異論を理解し、納得解を作る優しさも必要なのではないでしょうか。
我々も、異論に対してフレキシブルに対応できる予測システムの開発・実用化に取り組みたいと思います。

3月3日 Y.I.記
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2012年12月31日

『津波てんでんこ』

東日本大震災で活かされた教訓としてよく耳にした言葉である。
津波が来たら、「各自てんでんばらばらに高台へと逃げろ」という意味だそうだ。

我先に逃げることには少し抵抗があるが、津波の映像をみるとその通りだと思う。
どんなに屈強な人でも逃げ遅れたらかなわない、それほど津波は恐ろしいものなのだ。

しかし、逃げ足の遅い老人や子供でも、高台に避難して助かった人も大勢いる。
己の無力を知り、日頃から避難の準備や訓練を怠らなかった謙虚さの賜物なのだろう。

それでは、車で非難した人たちはどうだったのだろう。
高台に続くルートに車が殺到し、渋滞に巻き込まれたケースも多かったようだ。

車の場合、渋滞したからといって選択したルートを変更することは容易でない。
「津波てんでんこ」で、避難ルートが渋滞を起こさないように準備や訓練が必要なのだ。

様々な被災パターンを想定し、車による避難行動の模擬訓練を行っては如何だろう。
実際の手段やルート選択のデータを活用すれば、一人一人の行動に立脚した避難予測ができる。

それは、模擬実験の臨場感を高め、災害に対する備えについて関係者が意識を共有するのに役立つ。
しかし、もっと重要なのは、訓練を通して「命てんでんこ」の意識や勘が養えることではなかろうか。

12月31日 Y.I.記
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2012年04月01日

将来予測の必要性

原発再稼働を巡って、日本のエネルギー需給から見た必要性を明らかにすべきとの意見を目にする機会が増えた。

そういえば、以前は電力会社のテレビCMでもいつも流れていた、電力需要の将来予測を見かけなくなった。

電力需要に限らず、経済も交通も同様である。

以前は、この変化の激しい時代にあたらない将来予測をすることに何の意味があるのかと思っていた。

しかし、最近、将来予測には2つの異なるタイプがあると考え始めた。

ひとつは、投資=供給量を検証するために行う需要予測で、これは外れるとまずい。

そして、もうひとつが、政策の実験的アプローチのための需要予測で、複数のケースを想定し、予測値も幅を持ってもかまわない。

これまでは、前者の需要予測が主で、先決された政策の検証にすぎなかった。

だから、政策がぶれ始めた今では、需要予測の前提条件さえ決められず、予測ができなくなったのであろう。

しかし、このまま確たる検証もなしに、行き当たりばったりに政策を進めていいはずはない。

そこで、注目したいのが政策の実験的アプローチである。実験であるから、想定外の出来事が起こってうまくいかない場合もあることを認めたうえで政策を進めるのである。

大切なことは、英知を取り入れて様々なケースを想定し、合意形成に時間をかけて納得づくで政策を進めることだ。

交通需要予測においても、インフラの量的な不足の解消が絶対的な計画課題とされたキャッチアップの時代が終わり、上位計画の経済計画指標や人口を前提とした一方向の予測の持つ意味は薄れつつある。

今後は、豊かな生活や活力と創造性に満ちた産業など、社会の目標像の選択を助ける双方向の予測の重要性が増すと思う。

同時に、評価指標も、需給バランス等量に着目した指標より、時間短縮等質に着目した指標が重視されるようになる。

また、整備制度も、一定の延長を一気に事業化し完成させていく従来方式では変更が難しくなるので、緊急性の高い特定箇所の整備から段階的に事業化し完成させていくように変わることが望ましい。

将来予測を突破口に、成熟社会の計画に脱皮していくことに期待したい。

4月1日 Y.I.記
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2011年11月07日

道路・街路事業の評価

戦後、インフラ整備に対するニーズに対して絶対的に財源が不足していた時代、プライオリティの特に高い事業については特会制度を設けて財源を確保し、その推進が図られてきました。

しかし、縦貫道の整備がほぼ完成し、第二縦貫道や横断道、都市圏環状道路などの整備にシフトする時代を迎え、高速道路整備に対する風当たりが強まってきました。

一般財源が苦しい中で特定財源の存続の是非を問う意見や、交通量が少ない割に整備コストが高い点を捉えて、事業の非効率性を問う意見などが噴出したからです。

これに対して、まず、事業評価制度を充実し、整備のプライオリティの決定プロセスの客観性や透明性を向上させる取り組みが進められました。また、道路特定財源も、平成21年度より、すべて一般財源化されました。

しかし、特会制度はなくなりましたが、それは道路整備のための財源が不要になったからではありません。投資余力が残される期間のうちにやっておかねばならないことは、まだまだたくさんあります。

例えば、異常気象時に交通不能で孤立する集落や地震によって倒壊する危険をはらむ橋梁が多数残されていますし、都市計画道路の完成延長も必要延長の6割にすぎません。

また、身近なところでは、延焼や大震火災時の避難困難の危険をはらむ密集市街地や自転車や駐車車両に注意が必要な狭幅員道路、バリアフリー化が必要な道路や駅等もたくさん残っています。

このように、道路・街路事業を計画的・効率的に推進する必要性はいささかも失われていませんが、道路特会がなくなって以降、事業計画の検討にはあまり力が入らなくなっているようです。

道路や街路等のインフラ整備には時間がかかるので、投資効果はすぐに発現するわけではありませんが、気を緩めるとタイの大水害のようなしっぺ返しを受けます。

また、サステイナブルなインフラ整備を心がけとていかないと、投資余力が減退する近未来にメンテナンスに手が回らなくなる恐れがあります。

道路・街路事業の必要性や緊急性に対する幅広い理解を得て必要な財源を確保し、事業計画に基づく計画的・効率的な整備に努める必要があるのではないでしょうか。


11月7日 Y.I.記
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